直接的に関係なさそうなのに、左膝を曲げると右足が痛い。
施術中にそんな事は日常的に見られます。
『動いたら痛い』が続いてくると、痛みを避けるために動作変更を自動的に行うことが
あります。何か動きが変わった気がする、痛かったのが消えたと感じる時は、動作変化
で痛みが隠されているのかもしれません。
『全身の繋がり』『〇〇の繋がり』と様々な繋がりがあるといわれていますが、
実際、上記の場合は何が起きて痛みを感じるのでしょう。
『曲げる』動作は筋肉が縮み、2つの骨を引き寄せることで行われます。
オモチャのように関節だけが「クキッ」と曲がるのではありません。
膝を曲げる動作は、足の裏側の筋肉が縮むことで行われます。
ここで膝を曲げる動作を膝だけでまとめてしまうと、反対の足に影響が出る事が
伝わりません。膝周囲だけで解決する話ではないからです。
膝を曲げる時、筋肉の伸縮は、
一緒に働く共同筋 ・・・ 半腱様筋・半膜様筋など
対抗して伸張する拮抗筋 ・・・ もも前の大腿四頭筋
↓↓
主動筋が単体で関節を曲げる訳ではありません
施術中にうつ伏せで寝ている前提ですが、筋肉の伸縮に伴って骨が変位します。
・脛骨(ふくらはぎの骨)は膝を中心に背面から大腿骨に近づく
・腓骨(ふくらはぎの骨)は脛骨と同様
・膝蓋骨(膝のお皿)はふくらはぎ側に引っ張られて変位する
※細かい動きは省略しています
また筋肉の伸縮は例えば殿部(お尻)だったり股関節周辺の筋肉の伸縮も促します。
※筋肉の伸縮による力の伝達は、膝周辺と反対側の筋肉の付着部位でも行われます。
ここで股関節周辺へと力が派生して、股関節、仙腸関節(骨盤と背骨を繋げる関節)
などを変位させます。その時、馬尾神経と呼ばれる仙骨から下肢に繋がる神経への
刺激が入り痛みを感じさせたのでは?というのが今回の判断です。
腰部の一ヶ所へアプローチして、この痛みは解消しました。
このケースでは身体機能のチェックをしていなければ原因に気付けません。
『背骨の歪みが・・・』『骨盤の歪みが・・・』と気にするのは施術者、受け手の自由ですが、
骨単体では動かない、姿勢を維持できない事を考えたら、そこだけに注目する・注目させる
のはナンセンスだと思います。