当店では行わないアプローチですが、
分かりやすいから?
本が売れているから?
望まれる方が多いのか?
前回の投稿は閲覧が多いです。
肩甲骨は、体幹から腕へ力を伝えていく役割があります。
これをわざわざ不安定にする必要があるのでしょうか?
ここに『肩甲骨はがし』への疑問があります。
前回の投稿で書いたように、主に僧帽筋へのストレッチが
このアプローチで狙っている効果だと考えています。
僧帽筋が優位に働いている方にとっては、僧帽筋が抑制され
有効なアプローチと思えるかもしれません。
逆に僧帽筋が抑制されており、頑張らせる必要のある方はより
抑制されてしまい逆効果です。
皆、必要なアプローチは異なりますが、身体の機能を考えて必要な
アプローチか?を判断する必要があるのではないでしょうか?
野球の投球動作を例に考えてみましょう。
足を前に踏み込み、股関節を回旋させたパワーを体幹に伝え
体幹から更に肩甲骨を介して腕へ、最終的にボールを投げる動作です。
肩甲骨が不安定な状態が望まれるでしょうか?
不安定な状態で力を安定して伝えられるでしょうか?
スポーツ動作に限らず、日常生活でも肩甲骨は動く(可動する)必要は
ありますが、必要以上に可動性を求めて不安定になっては元も子もない
ように思います。
最近あまり聞きませんが、Joint by jointという考え方では
肩甲胸郭関節は『安定性』を『可動性』より優先して考えます。
肩甲骨には様々な動きがあり可動性も必要ですが、肩甲骨周辺の
筋肉の働きに大きな偏りがあれば、位置が安定せず可動域が
狭まります。
肩甲骨周辺の筋肉の出力のバランスが整っていることが
結果として可動性をもたらします。
むやみやたらに『動かせばいい』とばかりに、肩こり解消のために
肩甲骨をはがそうと僧帽筋ばかりにアプローチしたらどうなるでしょうか?
他の筋肉が優位となり上方回旋を例に挙げると前鋸筋だけが強くなり、
肩甲骨の回転が歪になるのではないでしょうか?
肩こり➡僧帽筋に問題がある➡ほぐせばいい、ストレッチすればいい
となりがちなのか?ほぐす筋肉として挙げられがちです。
『肩甲骨を内方に引っ張って安定させているのは???』と考えると
『肩こり解消のために!』と安易に働きを抑制して良いのでしょうか?
また、表層だけで考えず、肩甲骨の深側で考えると・・・
菱形筋と前鋸筋の働き方を見ていく必要もあります。
動きでは、前方突出-後退という観点です。
菱形筋が抑制されると、前方突出・・・肩甲骨は外側に引っ張られ易く
なります。巻き肩の状態を誘発するイメージでしょうか。
勿論、他の筋肉との関係性を考え、必要だと判断したうえでなら
抑制すれば良いと思いますが、『肩こりだから○○をします!』という
安易な考え方に飛びつくのはもう止めませんか?
まずは現状把握すること、その後に必要な施術を受ける事が
良くなるための近道です。案外、現状把握のための検査を受ける必要が
ないと捉えられがちですが、無駄な施術を受けないためにも必要です。
「これが流行っているから」「みんな受けているから」を選択基準に
するのは、「これを食べると健康になる」とTVでやっているから
食べるのと一緒です。