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横座りが片方でしか出来ない

横座りが片方でしか出来ない

良くないと言われてもしてしまう。
そんなひとつ、『横座り』
 

 
昨今、何に対しても『骨格の歪みが問題』
と言われがちです。
横座りで痛み・やり難さに『骨盤の歪みが原因』
と言われた方が多いかと思います。
※歪みとは…の部分は割愛します。
 
片側でしか出来ない・一方がやり難い理由を
列記すると
 

● 股関節の可動域の制限がある
● 体幹の側屈制限がある
● 股関節周辺の筋肉の相互関係が崩れている

 
が主な要因として考えられます。
 
★2020.11.10
part1〜3まで書きましたが、
目次機能を付けたので、まとめました。
 
 

横座りが片方でしか出来ない

股関節の動きに制限がある場合

 
横座りする時に大きく動く関節は
股関節・膝関節・(足関節)です。
これらの関節可動域が狭いのが要因として考えられます。
 
骨盤は股関節の動きに使われる筋肉の伸縮
に伴って引っ張られているだけで
骨盤自体は能動的に動く訳ではありません。
上記の関節の動きに加えて腰部・大腿部の
筋肉の働きが偏るのに伴って、骨盤が
横から見て傾いた・捩じれた様に見えます。
 
が、それを『横座りが片方しか出来ない』理由
として挙げるのは些か疑問です。
(当店では骨盤は構造的には歪まない事を前提に施術しています。)
 
タイトルの『片方でしか』に注目すると、
足を左右に振る関節が影響しているといえます。
となると膝、足首の影響よりも股関節の動きの
関与が大きいのでは?と考えています。
 
 

股関節のどの動きがおかしいのか?

 
左右に振る動きと書きましたが、
この場合は外転・内転ではありません。
股関節を内外に回転させる外旋・内旋の
動きが対象となります。
 

正座をした状態から足をズラすと股関節が回転し、横座りになります。
足が出る側が内旋(内回し)、反対側が外旋(外回し)になります。
これらの動きのやり易さで横座りの座りやすい側が決まります。
 

一方でしか出来ない場合、
 

●股関節の可動域の制限がある
 ・詰まってカチッと止まる感じがある場合
 
●股関節を動かす筋肉の相互関係が崩れている
・座り難い側で違和感を感じる場合
 
●他部位に原因があり、股関節に制限が生じる場合
・体幹が不安定 

が考えられます。
 
 
身体機能を評価したうえで
座り難い側も徐々に座れるように
股関節の動きを見直していきます。
昨年、先生がtweetされていましたが、
 
『意識下で遂行できないから介入が必要であり、
意識下で遂行できるなら反復が必要であり』
 
横座りが片側でしか出来ない事を問題と考えるなら
明らかに前者なので対応として何らかの介入は必要です。
『片方だけで出来ればいい』
『問題を感じないから大丈夫』
だから放置されるケースが多いです。
当店でも、他の主訴があって話していたら話に出る
ケースばかりで問題と捉えている方は少ないです。
 
 

座り難い側で横座りをすれば出来るようになるか?

 
なるべくお金を掛けたくないからと
ご自身の判断で色々とされる方は少なくありません。

 

●股関節の可動域に制限があれば(簡単には)出来ません。
 ➡可動域を制限している要因に対策が必要です。
 
●筋肉の相互関係は、反対側で座り続けても変えられません。
 ➡一方だけでしか座れない筋肉の働き方になっています。
 
●股関節以外に修正が必要な場合があります。
 ➡上半身が倒れる、体幹が不安定など股関節以外に原因がある

 
と特に3つ目の理由でオススメはしていません。
 
片側だけで出来れば良い座り方ですし、両側で出来る必要がないと
仰る方がいらっしゃると思います。
 
 

横座りをして上半身が安定しない場合

 

側屈で問題を感じませんか?

側屈は、身体を横に曲げる動きです。
これを立位で行ったときに
 

●左右で『やりやすい・やりにくい』はありますか?
●どこで詰まる感じ・引っ張られる感じがありますか?
●痛みを伴いますか?

 
横座りと関連付けると
 

 

1)足を横座りの状態で座ります
2)骨盤帯が下写真手前に傾きます
3)写真奥に向かって上体を起こします

 
といった流れ。3)が側屈にあたります
 

 
写真で足の状態を見ると・・・
 

●手前 ・・・ 大腿(太もも)は内転(内側へ)、股関節は外旋(外回り)します。
●奥  ・・・ 大腿(太もも)は外転(外側へ)、股関節は内旋(内回り)します。
    ⇓⇓
手前・奥で反対の動きをしているのがわかります。

 
奥は腹周りの筋肉が収縮、手前は伸張しています。
上半身は写真の手前に向かって倒れます。
 
股関節の内外旋が影響しますと前述しましたが、
股関節の調整で両側で座れる手ごたえは感じられたのに
手前の体幹・殿部・大腿側面の筋肉が伸張しづらい場合、
上半身を起こしたくても筋肉が伸張せずに
手前に倒れてしまいます。
 
下肢からの引張もあるので、立位で側屈した時の動きの問題を把握し、
前述した様子を観察して、そこから細かく検査をして問題を探ります。
 
【腹部・殿部の側面で起こりがちな問題】
伸びるべき時に縮もうと力が入って伸びない感じで
倒れないように抵抗をしないと座れないようであれば、
身体の側面が問題を抱えている可能性があります。
 
身体側面を股関節外旋に合わせて伸長されるように調整すると
倒れずに横座りがしやすくなる方もいらっしゃいます。
※運動制御の問題がある場合は単純なほぐしでは変わりません。
 
 

動作を考えると・・・

 
よく言われる話ですが、関節の動きが十分あっても、
その動作が出来るかはまた別の話。
 
1+1=2 ですが、
股関節の可動域 + 側屈動作するための可動域 = 横座りが出来る
 なのか?という話です。
 
身体は各々の部位で可動域が十分であれば
所望の動作が出来る・・・のでしょうか?
身体運動は、関節の動きだけで決まる訳ではありません。
  ↓↓
関節の可動域は十分で痛みもない場合、
『股関節の内外旋と上半身の側屈が同時に行うこと』
これが出来ないから、横座りが出来ないともいえます。
  

動作にかかわる各関節が正常な動きや可動域を有している場合、
これら全ての関節がかかわる動作も正常であるという仮説を
立ててしまうのである。
        ~Gray Cook “MOVEMENT” p5より抜粋~

 
動作を行うためには、各関節が正常な動きをすることは大切ですが、
単純に関節の動きがあるから、望む動作が行える訳ではありません。
 
動きの協調、安定性、姿勢制御・・・といった運動制御の観点でも
みる必要があります。
 
やってみて出来ない➡可動域に問題はない➡なぜ??
といった場合は身体の動かし方に原因がある場合があります。
 
最終的に所望している動きが『出来る』ことを本人が感じられる、
出来る手ごたえがあることが大切です。
 
脳からの命令の伝わりに問題があり、横座りするための筋肉が
上手く協調して働いていないとしたら、どこに問題があるのか?
を探って、横座りが出来るように動き・筋肉の働きを協調させる
必要があります。
 
 

当店で運動制御の観点で行う事

 
運動制御をととのえていくアプローチのひとつを使用しています。
受けられた方は最初は要らなかった力が普通に入るようになり驚かれます。
筋出力を見直す手法を用いて、筋出力の優位-抑制の関係をととのえていきます。
 
筋肉の働き方をととのえていくには、手技だけでなく運動刺激を
継続的に与えて使い方を変えていく必要があります。
 
身体の使われ方、命令の伝わり方をととのえた上で
自分の動きをコントロールできるようになることが重要です。
 
 

まとめ:身体の使い方の偏りを減らす

 
座り方は一例ですが、関節の動きが一方だけに偏っている
事を減らす事は局所的な負担を減らす事に繋がるので、
自身の座り方をキッカケに身体の動きを見直しませんか?
 
例えば、股関節の動きの悪さを放置する事で
体幹を片側だけに捩じり易く、一方が捩じりにくい事に繋がります。
筋肉が捩じり易い側が縮みやすくなるので体幹が
捩じれたような姿勢が普通になります。
局所ではなく身体の歪みに繋がってしまいます。
見た目を気にする方なら股関節の動きは意識してチェック
していく項目のひとつです。
悪姿勢って猫背・骨盤矯正がよく取り上げられますが、
見直していく必要なポイントはそれだけではありません。
 
 
また、原因についても『日常生活で片側だけで座ってきた結果』
というのは簡単ですが、他の偏った動きの積み重ねも含まれます。
一回の施術で解消する要素ではなくセルフケアの継続も必要ですし、
数回は1週間毎での施術で動ける感覚をつくる事も必要です。
何よりも施術時間<<日常生活時間なので、日常的に意識して
動きが偏っていないか?のチェックすることも必要です。
一朝一夕で身体が変わるならそんな必要はありませんが、
身体は日々の積み重ねで作られます。

 
自分の身体を知りながら、より過ごし易くするため
 

●動きの偏り・制限があるか?を調べる
●動きが狭くなった関節を動かせるようにする
●動かす習慣をつくって、偏りを減らしていく

 
といった流れでアプローチしていく事が大切です。
 

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